センターとは

ごあいさつ

「フォトニクスで拓く、新たな産学連携と人材育成システムの構築」

フォトニクスとは、光と物質の相互作用にかかわる科学技術です。光を眼で感じることも、光と視細胞の相互作用によるもので、見ることもフォトニクスの実践なのです。また、私たちの身の回りにも数多くのフォトニクス製品が満ちあふれています。例えば、カメラや、光ディスク、液晶ディスプレイ、太陽電池、光触媒、光通信など、フォトニクスはとても身近な科学技術といえます。

さて、大阪大学には100を超えるフォトニクス関連の研究室があり、数多くの教員、研究員、学生が、長年にわたり、フォトニクスの最先端科学を開拓し、技術開発を行っています。これら先進的な研究活動や分野横断的な学内プロジェクト「ナノフォトニクス・リサーチイニシアティブ」などを踏まえて、2007年7月に文部科学省・科学技術振興調整費による先端融合領域イノベーション創出拠点形成プログラムに採択され、フォトニクス先端融合研究センター(Photonics Advanced Research Center: PARC)が設立されました。フォトニクス関連企業5社とともに、ナノフォトニクス、とくにプラズモニクスを基盤とした多岐にわたる融合研究を推進し、イノベーションの創出に取り組んでいます。2011年4月には経済産業省の支援によりフォトニクスセンタービルを竣工し、センタービル内に企業の研究開発室を設置することで、大学と企業が物理的な空間と最新のフォトニクス技術の情報を共有する、新たな産学連携モデルである相互浸透型協働システムの構築を進めています。

フォトニクセスセンターでは、協働5社とのプロジェクトに併せ、拠点で生み出された研究成果を社会に還元することを支援する取り組みを行っています。プロトタイプ作製のための設計、加工、試作、分析・観察・評価用のソフトウェアや機器を共用設備として導入し、フォトニクスセンターに参画いただいているメンバー、企業の方々に利用いただく、フォトニクスキャナリーを運営しています。また、研究者自身による起業・製品化を支援するユニークなプロジェクトを立ち上げ、開発された製品を企画、製造、販売するベンチャー企業が設立されたり、企業との共同開発を経て上市された製品もあります。

さらに、海外のフォトニクス関連の研究センターとも連携し、最先端研究を開拓するネットワークの構築も推進しています。とくに、若手研究員、大学院生の派遣や受け入れを通して、研究交流や共同研究を国際的に行うことで、次世代を担うグローバルな人材を輩出する取り組みにも力を入れています。これらセンターにおける様々な研究開発、人材育成などの活動を通じて、この千里丘陵において、フォトニクスの世界的な教育研究拠点として発展するとともに、フォトニクス産業が自発的・創発的に次々と生み出されるフォトニクスヒルズへと展開していきたいと考えています。

大阪大学 工学研究科附属フォトニクスセンター長

大阪大学 大学院工学研究科教授

藤田 克昌