センターとは

ミッション

フォトニクス技術は、20 世紀を支えたエレクトロニクス技術を継いで、21世紀の科学と産業と社会を担う技術としていま脚光をあびています。フォトンは荷電粒子のエレクトロンと異なり、大気中、水中、生体内を自由に伝播する人に優しいメッセンジャー、優しいプローブです。このフォトンの最先端科学を探究し、フォトンを使った次世代の科学と産業を開拓し、フォトニクスの未来を担う人材を育成するべく、大阪大学はこれまで、学内プロジェクト「ナノフォトニクス・リサーチイニシアティブ」を推進してきました。そして2007 年7 月に、科学技術振興調整費による先端融合領域イノベーション創出拠点の形成プログラムの一つとして、フォトニクス先端融合研究センター(Photonics Advanced Research Center: 略称PARC)を設立しました。

光学は物理学の基礎であり、天文、数学、化学、生物学の歴史的発展も光学研究なしには考えられません。その光学が、21世紀の幕開けに始まったナノテクノロジー・バイオテクノロジー・ライフサイエンス、IT、大阪大学は歴史的に光科学のメッカとして知られ、最多数の光科学研究者を配し、光学・分光・光化学・光バイオロジーなどの分野を開拓してまいりました。そして今、我々は「フォトニクス」のキーワードの下に、産業イノベーションを産学協働によりめざすPARC、環境エネルギー健康技術開発をすすめる光エコライフ技術開発拠点、アジア・世界のフォトニクス研究教育を推進するアジア先進ナノフォトニクス研究教育拠点の3 事業をフォトニクスセンターとして有機的に集約し、イノベーションを加速する体制を築きました。これから我々はこのフォトニクスセンターから新たなフォトニクス産業の創出をめざし、千里丘陵をフォトニクス産業の集積する「フォトニクスヒルズ」としたいと考えています。環境、エネルギーなどの重点的分野において、さらに広く深く貢献することが期待されています。その時、「光学」は、フォトンとナノ物質との相互作用の科学「フォトニクス」として、新しい時代におけるイノベーターの役割を果たすであろうと思います。フォトニクスは21世紀の科学と産業と社会における先端であり、融合であり、イノベーションを創出する基盤技術といえます。フォトニクスはこれまでの学問体系の壁を崩し、ギボンズの言う新しいモード「transdisciplinarity」を生み出すことでしょう。